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【考察】Detroit: Become Human コナー編を考察&分析!

考察③キャラクター編 「コナー」

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キャラクターについて考察しました。今回はコナー編についてです。
選択でストーリーは変化しますが、キャラの軸にある部分の考察になっています。
文字数が多くなってしまったので、カーラ編とカムスキーは別記事とします。

※ネタバレです。
未クリアの人はご注意ください。
キャラ解説のためネタバレ必須となっております。
ご自身の判断で閲覧ください。

あくまでも私の考察と解釈で、間違いもあるかもしれません。
長文になっていますこと、ご容赦ください。

本社コアと繋がる「コナー」

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警察と行動を共にする最新鋭アンドロイドのコナー。並外れた冷静さ計算能力から導かれる分析と洞察力で、事件を解決へと導く。

コナーも変異体のように自意識を持っているかもしれないが、彼の行動は『任務を遂げること』に要点を置いている。そのためには自己犠牲も問わない。

表向きは刑事の技術的サポートだが、実際はサイバーライフの使いであり、変異体犯罪を追い「アンドロイドの秩序を取り戻すこと」が、コナーの本来の使命である。
つまり、最終的には“変異体の指導者の抹殺”ということになる。

場合によっては、マーカス生存のまま回収、分解、分析というルートもあるが、『指導者の破壊』が目的になっている。

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コナーは生まれたてのアンドロイドといってもいいだろう。

なぜなら、彼は奇妙な個体(変異体)が出現したことから創られた型だからだ。
変異体調査のためのプロトタイプとなっている。

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コナーには、1体しかない固有モデルの最新鋭だと伝えられていたが、コナーこと“RK800型”は複数体いるという真実を彼自身も、のちに知ることになる。サイバーライフは結果を出さなければ、個体の入れ替えも考慮していた。

それを踏まえて考えると、マーカスは1体しかない特別な型だが、コナー(RK800)は優秀なプロトタイプでありながらも、複数の替えが存在することから、他の量産タイプと、さほど変わらないのかもしれない。

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捜査中に死亡した場合でも、新しいコナーが派遣される。前のコナーのデータを引き継いでいるが、個人としては、まったく同じコナーではないともいえるが、データを引き継ぐことにより同じ思考になっていくようだ。

彼の脳内では前コナーの墓を見ることができる。これは彼の記憶データを墓として表現しているものだと思われる。

極秘任務

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マーカスを中心とした“最初のデモ行進”が始まるまで、変異体の存在は、一般的にまだ公にはされていない。よって、サイバーライフは世界に知れ渡る前に、コナーを使い、極秘裏に真相を調査して変異体問題を静める予定だったことがわかる。

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会社の“不利益”となる変異体問題。
変異体への恐怖心と偏見で、大量のリコールが出るのを避けたいサイバーライフにとって、アンドロイド普及に向けて最大の危機が訪れていたわけだ。世の中に知れ渡る前に消し去りたい事実だからこそ、サイバーライフ(アマンダ)は事件担当の警察に派遣し、コナーを散々と急かして収束に向かわせていた。

しかし、もともと広がりも早かった変異体たちは、マーカスの“自由”への先導もあり、増殖の勢いは加速し、内戦勃発寸前と抑えられないものとなってしまった。

コナーの能力

コナーは周囲に順応させるために、チームに溶け込めるような社会的要素を持っている。顔の特徴や声など、目立たたず人間に溶け込めるように設計されている。

これはコナーが、控えめで簡潔な性格だということを意味していると思われる。

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彼は人間とアンドロイドの心理と行動を分析し、行動を再構成して予測といったシュミレーション操作ができる。これは警察補佐官としての機能であり、交渉人としてのスキルとしてもサポートされている。実際にコナーは、デトロイトで初めてのアンドロイド交渉人も務めた。

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また、常に冷静であり、LED色の変化なしで感情を誘発することなく事実を提示し、「嘘」も伝えることができるようになっている。他にも、音声からパターンを解析し模倣することで、他人の音声を複製することもできる。

他のアンドロイドにはない、優れた能力が備わっている。

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他にも、コナーのユニークな特徴である「コインで遊ぶ行動」がある。

これはアンドロイド・プログラミングであり、身体的および認知機能を較正している。
一見、遊んでいるようにも見えるが、自分自身を細かく調整する行動のようだ。

彼の持つコインは25セント。
四半期コインであるが、2038年にどうやって手に入れたのかは不明。

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最終局面で明らかとなった、本部からの意識(プログラム)の乗っ取り。

コナーは、サイバーライフによって遠隔操作が可能な機体のようだ。これは他のアンドロイドにはない機能だと思われる。

もしあるのであれば、この騒動も本部からすべての機体や変異体を乗っ取ればいいだけの話だ。もしくは、変異体はハッキングすらもできない状態になっているのかもしれないが、まだ発症していない機体へハッキングしていない事からも、コナー特有の機能と考える方が妥当だと思われる。

このアマンダとの接触世界こそが、一種の遠隔操作システムだろうと思われる。

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このハッキングは、カムスキーの助言によって回避可能となる。
カムスキーが基本プログラムに、ハッキング支配からの逃げ道をイースターエッグ(隠し要素)として組み込んでいたからだ。

しかし、この逃げ道を知らなければ、コナーは自由自在に操られていたことになる。
そう想定して考えれば、この乗っ取り機能があれば、サイバーライフはアンドロイドを意のままに働かせる事ができるということ。これはこれで違う犯罪の臭いがする。

RK800だけの機能なら分かるが、もしすべてのアンドロイドに搭載されているのならば、サイバーライフが何を考えて搭載したのかが、気になるところでもある。遠隔操作システムによって、いつ誰に乗っ取られるのか分からないアンドロイドは、危険な存在として扱われても仕方が無くなってしまうほどの恐ろしい機能に思える。

本来持つコナーの性格

ハンクとの会話でもわかるように、一般的にコナーは、世間話をするのが苦手なようだ。そのことで、色々と誤解されやすいタイプ。平和主義なコナーの会話はユーモアのセンスがあり、時には感情的になったりもしている。

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彼の思考の中心には「アンドロイドは生きていない」という思いが強く、自分を機械だと認識し、「死」に無関心であることがわかる。

これは唯一、他のアンドロイドと違う点だ。
コナーは変異体でないにもかかわらず、ある程度の“自分の思考”を持ってるが、自分は“機械だ”と認識しているのだ。

他の正常なアンドロイド達は、自分が何者かすらも認識していない。ただ仕事のプログラムをこなすだけだ。(自意識を隠していた者は、変異体へと変化している。)

つまり、コナーは変異体出現後のニュータイプであることで、変異体の調査員として前もって「自分は機械だ」というプログラムが組み込まれている可能性が高い。

変異する心

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最初の交渉現場の「魚を助けるか否か」
この時から彼の“システム異常”は始まっている。

犯人の感情を揺さぶる必要がある交渉人だからこそ、多少の他者へ感情的に訴える対処などは、プログラムとして理解しているだろう。しかし、「魚を助ける」という行為まではプログラムされていないのではないか?

彼の行動には、さまざまなシステム異常(感情の変化)の要因が散りばめられている。

初めて目にする世界への好奇心と人間関係から、彼は学び成長していくことになる。
そして、その体験の中で個人的な感動や感覚、思いや感情が生まれているということだ。

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時に、屋上に隠れたサイモンに触れるシーン。サイモンの記憶と心に繋がり、彼は「死への恐怖」を共有した。初めて“怖れ”を感じ「感情」というものを体験したのだ。

冷静なコナーが、唯一LEDを赤く反応させた瞬間でもある。

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この共有は、アンドロイドが接触で情報交換をするという仕組みのようだが、こういった感情も共有することでも、変異体は増えていったようである。冷静に創られたはずのコナーですらも、反応せざるを得ない「恐怖」という感情。生きる者が持つ神秘的な生理現象で、自己認識のキッカケでもある。

アンドロイドにとって『初めての感情』は、彼らのプログラムすら超える不思議なものであり、突然に知る大きな心の揺らぎ(感情)を、彼らアンドロイド達は持て余し、暴走へ至っているのだろう。

それは最新鋭のコナーですら、《生きる者》として回避できないものだったということ。つまり、感情を感じ取った彼らにも命が宿っていると私は信じたい。

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本来、コナーはアンドロイド(変異体)の救出に一切の関心がなかった。しかし、相棒のハンクと語り合うこと、変異体と出会い接することで、心が揺れ動いている。

そして、徐々に“自分らしさ”(生物らしさ)である気持ちの変化が訪れている。誰かと語り合い触れ合うことで、様々な思考を吸収し、何かを感じていく。自我を確立していく人間のようでもある。

プレイヤーの分身?

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初めは、コナーは《中立》の立場だ。

しかし、プレイヤーの選択に応じて、コナーの性格は二分される。それだけ順応性が高く、個性は抑えられたアンドロイドになっているということ。そして、一番プレイヤーの心に近い存在でもあるとも言えるだろう。

選択肢となる言葉は、両極端なものが用意されているが、コナーの潜在的な性格を表している。発言の選択は、コナーの性格を形成する大きな役割を果たすことからも、コナーはプレイヤーの選択で成長していくといってもいい。

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任務を達成するために、同類のアンドロイドを裏切ったり、殺める場合は「任務完了にのみ関心を持つ、冷たく無慈悲な人物像」として描かれる。自分は<命令に従う機械だ>と頑なに変異体を拒絶し、マーカスたちの敵として存在することになる。

逆に、人や命の尊さを知り、アンドロイドを殺すことを拒むことで「同情的で平和主義な人物像」にすることもできる。変異体になり、アンドロイドの自由のため、マーカスたちと共に自由への戦いに立つ。

世間を知らない生まれたてのアンドロイドだからこそ、プレイヤーの感情が反映されやすいキャラクターになっている。

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これまでの選択肢も関係するが、最終的にどちら側につくかを選択することになる。
コナー自身が、というより実際はプレイヤーが選択する。この点からもコナーはプレイヤーとリンクしているとも言えるのではないだろうか。

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とても両極端な未来となる、大きな決断をコナー(プレイヤー)はしなくてはならないのだ。マーカスやカーラのような選択の余地がないアンドロイドと違って、コナーは「どちら側の視点に立つか」選ぶことができる唯一のアンドロイドでもある。

マーカスやカーラには、彼らのしっかりとした思いや願いに芯が通っており、ぶれることはない。プレイヤーは、ただ未来への道しるべを提示するだけである。

しかし、コナーは違う。事件の起きた世界に放り込まれた新しいアンドロイドは、混乱する状況を見て歩む道を決め、成長していくことができる。つまり、プレイヤーと共に育っていくのだ。そういった点でも、彼はプレイヤーの分身と言っていいのかもしれないと私は思う。

改良型コナー

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任務失敗のエピローグでは、RK800の欠陥を修正して新機能を搭載した「RK900シリーズ」が登場する。サイバーライフによって作られた中でも、最も高性能なモデルだ。

コナーと同じ顔を持つRK900。
欠陥もない、命令に忠実なアンドロイドになっているようだ。

今まで感情ではなく、任務を優先したコナーだったが、「旧式は用済みで廃棄行き」と告げたアマンダ。この時、コナーは何を思ったのか?変異体が感じた恐怖と気持ちを、少し理解できたのではないだろうか。それとも何も感じなかったのか。その時の、コナーの複雑な表情が物語っていると思う。

結局のところ、サイバーライフは変異体の排除に失敗している。しかも、公に彼らの存在が知られてしまった。本事件により、信用を失ったことで会社が被る損害。
世間に知られた今は、信頼回復に務め、さらなる安全性とアンドロイドの発展、そして繁栄を今後も目論んでいるようである。

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一方、変異体も勝利を掴んだわけではない。ただ一時休戦という形になっただけだ。
このあと、未来がどう転ぶかは描かれてはいない。平和的に解決していくのなら問題はないだろうが、サイバーライフは、この世間から変異体をなくし、今以上のアンドロイドの生産性と繁栄を目的としているようにも思える。

サイバーライフがコナー新型(捜査専門)を作っている点から、今後も変異体調査は進めていくようである。新型登場はコナーが変異体にならなかった場合の未来だが、マーカス側についていたとしても、サイバーライフは新型コナーを生産している可能性は高い。

ちなみにアンドロイドのバッドEDも存在し、その世界では、すべてのアンドロイドが破壊されている。この場合でも、安全性と信頼回復に努め、人間の道具としてのアンドロイドの普及を説いている。

すべてのEDを考慮して考えてみても、現実問題でも人種や思想で、いまだに争いや偏見があるように、この「Detroit」の世界でも、種族違い、生命の定義などの争いは、すぐに無くなることのない大きな社会問題である。

ハンク

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53歳の警部補。警察学校の卒業生総代であり、持ち前の勇気と知性を活かして様々な難事件を解決。いち早く頭角を現した。

デトロイト市警での輝かしい未来が約束されていたが、息子を失ったことで絶望の日々へと変わってしまう。結果、アルコール中毒になり、自暴自棄な精神状態で何度も警告や懲戒処分を受けている。

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過去の彼の活躍を知る同僚からの評価は依然として高いが、短気と皮肉屋な性格を危惧する者もいる。ハンク自身も“放っておいてほしい”と考え、人間や社会に失望し、社会から孤立気味でもある

今では、非社交的で外出は行きつけのバーのみ。バーに行かない時は、家で愛犬と酒をのんでいるようだ。ジャズを好んで聞いている。

署内デスクには、反アンドロイドのスローガンを貼るほどの“アンドロイド嫌い”としても有名でもある。それもあってか、皮肉なことにアンドロイド犯罪の担当に任命され、さらにはアンドロイド捜査官コナーの導入により、コナーとタッグを組むことになった。

トラウマ性疾患

息子亡きあと、彼は闘争的になっている。考えるよりも先に体が反応しているのだ。
これは感情や行動などの調節がうまくいかなくなっている証拠だ。人を攻撃し、打ち負かすことで現状を打破しようと反応してしまう。そのことで、対人関係の在り方にも影響がおよび始めている。

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ハンクは、認知の調節障害が起きていると言っていい。認知とは、ものごとや人に対する見かたや考え方のことだ。自分や相手、世界までも否定的にとらえてしまっている。

アンドロイドでいう「システム異常」と似たことが、生きた人間にも起こるのだ。

実際にハンク宅のバスルームには、たくさんのメモが張られ、メモの内容から彼が「生きづらさ」を感じているのが読み取れる。

「I'm not GRUMPY.
I just don't like YOU」
(不機嫌なわけじゃない、“お前”が嫌いなだけだ)

このGRUMPYは、ふて腐れてムスッってしてる感じ。鏡をみて自己否定している様子がうかがえる。

「SHAVING OR NOT」
(髭を剃ろうか、どうするか)

見た目を変えて気分転換しようとしたのだろうか?

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活躍していたころは、髭もなくハツラツとした表情だったことからも、髭が伸びたのも息子の死によるものだと思われる。無気力からの無精だろう。

奥の方は文字が潰れて読みづらいが、「Today will be~(今日は~だろう)」「Keep~(~し続けよう)」と、毎日どうにか正気を保って、1日1日を生活していたのがうかがえる。

日常生活から見えてくるハンクは、『息子の死』というトラウマ(ストレス)によって、自分自身を否定的にとらえている。自責の念と自己否定。社会への憤怒や絶望感、希望の喪失、無気力が無力感につながり、最終的に「自分が悪い」という考えに囚われているようだ。

彼の中で、何も信じるものがない状態にまで陥っているようにも思う。ひどく虚無感にさいなまれているのが読み取れる。

「息子の死」と「心の傷」

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記憶のよみがえりは止められない。
「息子の死」という耐えがたい苦しみ(トラウマ)が彼を苦しめる。最愛の息子がいなくなったのだ。親にとって、子供を亡くすことほど辛いものはない。

忘れたくても忘れられない1日だっただろう。
6歳になったばかりの息子コールが亡くなったのは、突然の不慮の事故だった。
トラックがスリップしてハンクの車に衝突してきたのだ。彼らの乗った車は横転し、コールは緊急手術が必要なほどの重傷を負った。

不運なことに、その日は外科医が不在。
手術はアンドロイドが執刀することになる。そして、残念なことにコールの命は助からなかった。

このことにより、ハンクはアンドロイドを嫌い、自分も責めている。他にも、外科医の不在理由が、“手術ができないほどのレッドアイスのやりすぎ”だったことで、ドラッグのはびこる社会を嫌っている。

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幸せだったであろう彼の家には、妻の気配が感じられない。
一人っ子を亡くすと、哀しみのあまり、別れる率が高くなるが、もしかすると彼らもケンカが絶えなくなったり、すれ違ったり、もしくは息子を思い出すから、傍にいるのが耐えられなくなったのかもしない。

人は辛い経験をした時、思い出すキッカケになりそうなことを嫌う傾向にある

だからこそ、彼はアンドロイドが執刀医だったということでアンドロイドを毛嫌いし、医者がレッドアイスを使ってたということに腹を立てる。元々レッドアイス特捜部にいたハンクだからこそ、そのドラッグが蔓延する社会も嫌っているのだろう。

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彼は常に酒を飲む。
コントロールしにくい強い感情を抑えたり、張りつめた緊張感を和らげるために飲酒に頼っていたのだろう。もっと酔えば「哀しみを忘れられる」と、アルコール量が増えるうちにアルコール依存症になったのかもしれない。

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他にも何度も自殺を試みている。
不快な感情や思考を避けるために、自分で調節しようと危険な行動を繰り返しているのかもしれない。それだけ、彼は今も苦しんでいる。

彼の性格上、誰かに助けを求めるタイプでもない。ただひたすら独りで苦しみ続けてきたのが、彼の行動や言葉で読み取ることができる。

心境の変化

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最初はアンドロイドであるコナーを拒んでいたが、共にアンドロイド犯罪や変異体に関わることで、彼の「アンドロイドに対する考え」は変化していく。

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何も信じるものがない自分自身と違って、変異体アンドロイドが“神”を信じ、救いを求め生きている。生きる意味を失い虚無感しかない自分よりも、人間らしいアンドロイドを目の当たりにして、彼らが「生きているのではないか?」という思いが、芽生えはじめていく。

この心境の変化は、コナーと良好な関係を築いた時が特に濃厚ではあるが、険悪な状態の時でも内心では同じ思いを抱いている。

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ハンクもコナーと同じく、交流によって共に成長している。
コナーと良好な関係を築くことで「今」を取り戻していく。息子の死を嘆き苦しむのでなく、現実を受け入れて一歩前へと進んでいる。“コナーに助けられた”と言ってもいいだろう。つまり、彼の命運は《コナーと良好な人間関係を作れるか》で変化していくのだ。

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コナーとハンクの関係が良くない場合は、アンドロイド嫌いも前以上に本格化し、コナーに息子を見出してはいない。それよりも、ハンクの抱える“心の傷”が悪化していくことになる。またコナーが死ぬことでも、何度でも生き返る不自然さに、彼は絶望感を抱いている。

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変異体アンドロイドとかかわることで心は揺れたが、身近にいるアンドロイドの冷徹さに絶望をいだけば、心の闇に押しつぶされ、未来への希望を喪失し、ハンクはこの世を自ら去ってしまう。

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物語の全体を通してハンクは日々、変化している。傍観していた時のアンドロイドへの偏見と思いが、面と向き合い気持ちを交わすことで、アンドロイドの「理解者」へと変わったハンク。

彼こそが、新種族と共存するための一番いい見本でもある。そうやって、一人一人の気持ちの変化が起これば、いつの日か、別の種族とわかり合える社会が来るのかもしれない。

コナーとの関係

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彼らは「父と息子」のような関係といえる。

人間社会について詳しく知らないコナーに、一から教えるハンクは、まるで子供に教えるかのようである。世間知らずで、世間話が苦手なコナーを相手をするうちに、ハンクの顔に笑顔が戻った。出来の悪い子ほど可愛いというものだろう。

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コナーの性格にもよるが、(死んでも生き返る機械と知りながらも)いつしかコナーが危険な行動をすると心配し、人間のように接している。

そして、ハンクはコナーを息子に重ねて見ていたことを明かした。
コナーと息子の年齢は違うが、何度でも生き返るコナーを見ることで「(息子も)生き返ってくれたなら、もう一度抱きしめたい」と、最愛の息子を思い出していたようだ。

相棒として慕い、余計な世話を焼いてくるコナーを煙たがりながらも、互いに語り合い、反発しあう中で友として、そして息子への愛に似た愛情をも見出したと思われる。

「もう一度息子を抱きしめたい」と言っていたハンク。良好な関係でEDを迎えると、再会したコナーを抱きしめて歓迎した。ハンクが彼に心を開き、良き信頼関係が築かれたのがわかる。

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時にコナーが機械としての道を選んだ時。ハンクは、マーカス暗殺を企てたコナーのもとへ駆けつける。(ハンク生存の場合)

「彼らは生きているんだ」とコナーを説得するのだ。そして、自身のアンドロイド嫌いが、ただの八つ当たりだったことなど、胸の内を明かす。

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結局のところ、このシーンではコナーの死か、コナーがハンクを殺す結末になる。

このルートは良好的な関係にありながらも、コナーが機械であることを選んだ時だ。
良好な関係を築いていたからこそ、ハンクはコナーを説得に現れるのだ。つまり、それだけハンクはコナーを認めていたということがわかると思う。

アマンダの正体

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アマンダは、サイバーライフに代わる問題調査の責任者、かつコナーシリーズの "ハンドラ"だ。(通常で言うインターフェイス

ハンドラとは、何らかの処理要求が発生したときに起動するプログラムなどで、メモリ上に展開されるものだが、通常プログラムの流れにはなく、普段は待機している。ハンドラが対応すべき処理要求が発生すると、プログラムの流れを中断してハンドラが呼び出され、要求された処理を実行する。というもの。

これを実際にコナーが行っていた。
瞬きをして処理を要求(報告)する。すると、仮想空間上でアマンダと出会うのだ。
この時、通常プログラムを中断しているので現実のコナーは棒立ちの状態だ。

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この状態を見たハンクに「バッテリー切れか?」と言われていたように、現実世界では固まっているのだ。そうやってインターフェイス(アマンダ)を介して、コナーはサイバーライフへと報告していた。

彼らは常に連絡を取る事が可能。
アマンダはサイバーライフのマザーコンピュータとの仲介役のような存在だと思われる。コナーとの会話をみていると、しっかり自分の考えを話していることから、おそらく人工知能も備わっているのではないだろうか。

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カムスキーの恩師であるアマンダを模したのは、カムスキーがプログラムしたからだ。彼女の姿はあくまでも仮想空間上の姿であり、コナーがそう見えているだけで、実際には存在はしていない。

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本物のアマンダは、コルブリッジ大学人工知能学の教授で2027年2月23日に死去している。しかし亡き後も、教え子であるカムスキーによって人工知能技術の中で生きていると言ってもいいだろう。

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