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【考察】Detroit: Become Human マーカスを考察&分析、ストーリー時系列、アンドロイドの種類

考察②キャラクター編+α 「マーカス」

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すべての物語を通して、キャラクターについて考察しました。
今回はマーカス編。アンドロイドの種類とストーリー時系列もまとめました。

※ネタバレ注意。未クリアの人はご注意ください。キャラ解説のためネタバレ必須となっております。ご自身の判断で閲覧ください。

あくまでも私の考察と解釈です。長文になっていますこと、ご容赦ください。

登場アンドロイド達

他にもいると思いますが、名前のあるアンドロイドたちです。主役は赤字表記

カムスキー退職後(2028年以降)の個体が多い。

型番号 製造年月 名前
RK-200 機密 f:id:bio-re-love:20180625123911j:plain
マーカス
(特殊機密プロトタイプ)/ 介助者「カムスキー製作」
RK-800 2038年8月 f:id:bio-re-love:20180625124956j:plain
コナー(プロトタイプ)/ 刑事補佐
RK-900 2038年11月 f:id:bio-re-love:20180625125009j:plain
コナー改良型
AX-400 2032年4月 f:id:bio-re-love:20180625125020j:plain
カーラ
/ ハウスキーパー・子守用
YK-500 2033年7月 f:id:bio-re-love:20180625125033j:plain
アリス/ 子供タイプ
TR-400 2030年1月 f:id:bio-re-love:20180625125043j:plain
ルーサー/ 労働・運送用
EM-400 2028年6月 f:id:bio-re-love:20180625125930j:plain
ジェリー/ 遊園地など商業用
PJ-500 2031年11月 f:id:bio-re-love:20180625131630j:plain
ジョッシュ/ 大学講師(言語&歴史)
PL-600 2034年2月 f:id:bio-re-love:20180625125055j:plain
サイモン&ダニエル/ 家事使用人
WR-400 2035年10月 f:id:bio-re-love:20180625125109j:plain
ノース(トレイシー)/ セックスアンドロイド
ST-200 2022年 f:id:bio-re-love:20180625133936j:plain
クロエ/ 秘書&案内人「カムスキー製作」
  2035年 f:id:bio-re-love:20180625125117j:plain f:id:bio-re-love:20180625132956j:plain
トレイシー(男女)/ セックスアンドロイド
KL-900 2036年 f:id:bio-re-love:20180625125130j:plain
ルーシー/ ソーシャルケア(社会的介護)
WB-200 2036年 f:id:bio-re-love:20180625125141j:plain
ルパート/ 農業・園芸・造園用
PC-200
PM-700
2029年 f:id:bio-re-love:20180625131534j:plain f:id:bio-re-love:20180625133014j:plain
警察
HK-400 2030年5月 f:id:bio-re-love:20180625130734j:plain
ハウスキーパー
JB-300 2033年5月 f:id:bio-re-love:20180625130721j:plain
コンピューター技師
WR-600 3031年 f:id:bio-re-love:20180625125157j:plain
ラルフ/ 緑地管理用

時系列

物語を時系列でまとめてみました。
本編は、1週間ほどの出来事になっている。(本編以前の分も知りえる事実は表記。)

西暦 月日 出来事
2027年   レッドアイス特捜部(複合捜査チーム)結成
  2/23 アマンダ死去
2028年 2/3 薬物「レッドアイス」のネットワーク摘発
    カムスキーが、サイバーライフを退職
2029年   合衆国アンドロイド法が制定
  8/22 ハンク・アンダーソン刑事が警部補に昇格
2031年 11/23 レッドアイスの売人を検挙
2035年 10/11 コール・アンダーソン死去
2038年 8月 変異体捜査のため、コナー製造
  8/15 アンドロイドによる人質事件
コナー: 交渉人として初起動
  11/5 カーラ: 修理完了&再起動
    マーカス: 買い物~夜にレオ事件(目覚め)
    カーラ: トッド宅から逃亡(目覚め)
    コナー: 殺人事件の現場検証
  11/6 コナー: 変異体の尋問
    マーカス: アンドロイド廃棄場
    コナー: アマンダに報告、署内で書類整理
    カーラコナー: カーラ、警察から逃走
    マーカス: ジェリコ
    コナー: 変異体ルパートを追う
    カーラ: ズラトコ邸へ
    マーカス: サイバーライフ社で物資回収
    コナー: エデンズクラブ~ブリッジ
    カーラ: 遊園地へ
  11/7 マーカス: マーカス決心、TV局をジャック
    コナー: アマンダに報告、TV局現場検証
  11/8 カーラ: ローズ家へ
    マーカス: サイバーライフショップを襲撃&仲間解放
  11/9 コナー: カムスキー邸を訪問
    マーカス: デモ行進
    コナー: 変異体捜査終了、FBIに引継ぎ
    カーラ: ジェリコ
    マーカスコナー:コナーを説得。コナーは進む道を決断(目覚め)
    ジェリコ襲撃
  11/10 マーカス: カールの助言(自宅or墓)
    ジェリコ集会、未来の道を最終決断
  11/11 マーカス: デモ行進or革命、成功後は演説
    コナー: コナー本社へor狙撃スタンバイ
    カーラ: カナダへorアンドロイド収容所
  11/12 カーラ:(収容所の場合)廃棄物埋め立て場

特別な存在の「マーカス」

「1人だけ主役を決めろ」と言われたら、私は“マーカス”と言いたいです。

彼が一番人間に近く、人の心も理解し、自我が強い。そして、自分で決断する力を持っているからです。

なぜ、彼だけが?

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マーカスは、サイバーライフの創業者カムスキーからの寄贈品です。量産型のアンドロイドでない、一点ものだと思われます。

特別な1体なのです。

カムスキーは悲惨な事故で脚が麻痺した友人カールのために、ユニークなアンドロイドをデザインし、芸術家であるカールの美的価値を喜ばせようと考えたようです。
これは介護だけでなく、重度のうつ状態だったカールを元気づける意味もあっただろうと思います。

マーカスは当初、新世代でのアンドロイドの精緻化を目的としたサイバーライフの「機密プログラムの一環」として開発された型だったようです。

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カールとカムスキーは友人であり、カムスキー宅にカールの作品も飾られています。
二人の関係が深い仲であるのが伺えますね。

それだけでも、マーカスが特別なプロトタイプということが判りますが、彼がもっと特別な存在になったのは「生活環境」にあると思います。

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彼の役目は、脚の麻痺で車椅子生活となった主人の介護。介護経験者なら特に理解できると思いますが、とても大変な仕事をしています。

また、家事全般に加えて、風呂、トイレ、投薬に食事、話し相手としても、1人でこなしています。

そんな献身的なマーカスのおかげで、カールは再び絵を描くことや、人生の味わいを取り戻しています。マーカスを初めは機械としか思っていなかったカールだが、二人はいつしか「父と息子」の関係にまでになっています。

カールにとってマーカスの存在は大きく、人のように接し、息子のように愛しています。もしかすると、マーカスが唯一“人間の愛情”を注がれて育ったアンドロイドだろうと思います。他にも幸せなアンドロイドもいるだろうが、マーカスは特に愛されてると考えられます。

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すべてを持っていたマーカス。
他のアンドロイドからすると、何不自由なく平和に暮らしています。小さな自由を与えられ、教養や娯楽など、好きに学ばせてもらえていたことが分かります。

カールはマーカスに己をよりよく表現し、より自由に生きるように導いていました。
彼はマーカスの自由思考を奨励し、多くの点でアンドロイド革命に影響を与えたといえるでしょう。

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自由時間に何をするか選択できるシーンで「本」「チェス」「ピアノ」と様々なものから選択できます。これは彼が普段からしてることでしょうね。

1周目、私は「本」を選びました。本の中でも3冊から選ぶことになります。

キーツの詩、シェークスピアプラトン

どれも素晴らしい偉人ばかりです。
共通するのは「人」を説いていること。アンドロイドにもってこいのラインナップ。
ここにすべてのテーマが詰まっていると思います。

文学が好きな人は、テンション上がったのではないでしょうか?

  • キーツは自然や人間の美を大事にし、美を詠うのが使命だと考えた詩人。
  • シェイクスピアは卓越した観察眼で、人間の心理を描き出す作家。
  • プラトンは、“観念”という言葉を創りだした三大哲学者。

私は哲学好きでプラトンの「絶対なる善」が存在するのか?人間はどのように善を達成するのか?といった本が好きだったので、プラトンをチョイスしてみました。

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プラトンの「国家」を読んでいたようです。イデア論を軸に「正義」というテーマで国家論を展開した哲学書です。

「善」とは国や社会、人の価値観で変わるもの。例えば、私が善だと考えてることは、あなたも善だと思うとは限りません。だけど「善」という言葉が持つ“イメージ”は共通だよね?という考え(イデア※1)を軸にして、善を解いていく内容です。
※1「誰もが共通して思い浮かべられるなにか。」をイデアと呼びます。

話が逸れてきたような気もしますが、このDetroitのテーマも同じことがいえると思います。人間の立場の「善」と、アンドロイドの立場の「善」。どちらも根本は同じことを求めているのです。

それは“自分たちの安全と平和”です。

答えを出すには互いに譲歩し、歩み寄るしか方法はありません。しかし、残念な事に、それが上手くできないのが人間の本能なのかもしれませんね。

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本についてマーカスは言います。
「哲学が好きなんです」と。

“答えのわからない問い”を語り合う楽しさを好きだと言っていました。

この本は、以前カールが薦めた本のようです。薦めた本を読むことはカールの発言から学んだことでもあるけれど、感想はプログラムされた言葉なのでしょうか?

カムスキーはTV取材で「アンドロイドは哲学も語れる。」と言っていましたが、この興奮気味に哲学を語るマーカスの、なんと人間らしいことか。私にはプログラムの言葉だとは思えませんでした。

カムスキーのいう“rA9”像は「起源であり、最初に目覚めた者」でした。
マーカスは「本当の自由」と「人権」に目覚めた最初の人でもあるから、カムスキーのrA9像にも最も近いのかもしれないなと思いました。

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他の娯楽でも同じことが言えます。
控えめではあるものの、どれも感情溢れる振る舞いをするマーカス。まるで幼い子供が学習し、吸収するかのような瞳をしています。

そんな姿を見てか、カールはマーカスの未来を案じ助言します。

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『私がいなくなったら、お前も...自分自身で身を守り、道を選ぶことになる。自分は誰なのか、どうなりたいのか。人間は皆同じであることを求めるものだ。だが、その言葉に惑わされてはならん』と...。

カールは自分の死後、人ではないマーカスを心配して、独りになっても世間に押しつぶされないように…覚悟を教えていました

本当に彼を子供のように愛してるのが分かります。そして、話を聞くマーカスのなんと寂しそうな表情でしょうか。カールの死...いつかは来る未来と理解していても受け入れがたい話ですね。

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時に選択次第では、カールが亡くなってしまいます。泣きすがるマーカスに胸が痛かったのと、マーカスがどれだけカールを心から愛していたかが分かります。

これほどまでに主人を愛したアンドロイドがいたでしょうか?そして、愛する人を失った悲しみと、これからの不安という初めての感情が錯綜しているシーンです。

亡くなる直前にカールは、泣くマーカスに言い聞かせます。

” don't let anyone tell you who you are "

直訳すれば、“お前が誰であるか、ということを誰にも言わせるな。”ですね。
つまり「(お前はお前であり)自分に自信を持って生きなさい」という意味がこもってます。字幕では「相手の言いなりになってはならん」でしたね。

最期までマーカスを案じ助言したカール。心が震えました。

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人間は“特殊な者”、“普通とは違う存在”を迫害することがあります。カールの息子レオもそうでした。マーカスを怪訝に思い、無下に扱っています。

レオの場合は、父を取られた反発でマーカスに嫉妬しているだけですが...世の中にはもっと酷い人間がいることを、のちに思い知らされることになります。

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カールは青を基調とした絵、ブルーブラッド?を象徴した絵をたくさん描いています。
それだけマーカスと過ごすうちに、アンドロイドに魅了されていたこと。そして、彼らを理解しようとしていたことが分かります。

偏見のない理解者で、父のような存在の主人。そして、教養と倫理観を学べる環境。

マーカスは、とても恵まれた環境で人間のように生きています。だからこそマーカスは「人を信じ、人を愛せるアンドロイド」なのです。

人間の子供も教育と手本により賢くなることも、強く生きていくための勇気を持つことも、人の気持ちがわかる心を持つこともできます。

アンドロイドらも、そんな人の子供と何ら変わりないような気がします。人格形成に「愛情」が、どれだけ大切なのかがよく分かります。

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しかし、ある事故を境に幸せから地獄へと落とされることになりました。

世界が一変し、生まれ変わったマーカス。
瞳の色も左右違いになって虹彩異色症(オッドアイのようです。これによって、更にマーカスの特別な存在感が増したように思います。

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このシーンでの「I AM MARKUS」は重く響く。“俺は機械(モノ)ではない”という思いが強く溢れている言葉だ。

“自分が何者か、自分で決めろ”と、カールが言っていた教えのように、完全なる自己確立をしているとも言えます。

マーカスの知恵は、カールの知識と教えで成り立っているのが分かります。

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優しい心を持つマーカス。
箱に詰められたアンドロイドを「かわいそうだ」と同情し、“一緒に自由にならないか”と解放し、自由(自我)を与えます。

彼はアンドロイドに直接接触することで、意志を持つ変異体として覚醒させることができるようです。このことから、マーカスにはプログラムからの自己解放を促せる力が備わっていると思っていいでしょう。

後半では、触らずとも指差しの合図で、彼らを解放している。(もしかすると、ハッキングしているのかも?)これは他のアンドロイドにはできない技です。

コナーもできる技なので、もしかするとプロトタイプは可能なのかもしれません。 

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街での、アンドロイド達の虐げられた在り方を目にしたマーカスは立ち上がります。
誰もが目にするTV放送をジャックし「自由と人権」を求めることに。

「命をくれた人間に感謝している」と言います。そして、歩み寄り、共に生きようではないかと、共存を訴えました。

ここで攻撃的な発言をしたとしても、内容はさほど変わらないと私は思いました。
凛と“自由を与えるべきだ!”と言うのと、丁寧に“自由にしてくれませんか?”という雰囲気やニュアンス違いの差だったように感じました。

まずは、アンドロイドから歩み寄りました。しかし、人間は受け入るわけもなく...。
機械の反乱だ!戦争だ!と騒ぎ始めたのです。

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最終決断前、マーカスはリーダーとしての重責に戸惑い、潰されそうになっています。
何もかもが目の前で崩れ去っていく現実、理解されない思い。

そう、彼らは平和に暮らしたかっただけなのに...。歯がゆさが何とも言えません。
迷いと苦しみ。決断の先には、マーカスとアンドロイド達にとっての大きな試練が待っています。

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カールが生存している場合は、助言を受けにいくのですが、カールの言葉は救われる言葉ばかりでした。迷える人には心に沁みる言葉です。

マーカスは紛争状態になってしまったことを悩んでいます。
「俺は血の色に関係なく、流血は望んでいないのに。だからといって、このまま仲間を見殺しにはできない」と決断を下せずにいました。

血の色について話したことで、カールは言います。

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「マーカス、お前は私の息子だ。たとえ血の色が違っても。」

マーカスは、いい人を父に持ちました。
私はこの言葉をこう解釈しました。家族というものも、心が分かりあうのも“血は関係ないんだ”という大きな意味が込められているように思います。

こんな人間がもっと増えれば、悲しい思いをするアンドロイドも少なかったでしょう。
人の新しいものへの恐怖心もわかりますが、もっとカールのような優しく、柔軟な考えのできる人や、社会になることを祈りたいですね。

いいシーンでもありますが、時に発言が本質的に攻撃的かつ暴力的だと、カールは「かつてのマーカスでない」と悲しみます。その後も攻撃的発言を続けると、心臓発作を起こしてしまう...とあまりオススメできない展開にもなり得るのです。

全部の展開が見たくて遊びましたが、あまりにもショッキングで...辛かったです。

ジェリコ

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船の名前をそのまま使ったアンドロイドの隠れ家「ジェリコ

人間から逃げ出し、ひっそりと静かに隠れていました。人間と、プログラムからの解放という自由を得たにも関わらず、人への恐怖心から誰も外へ出ようとはしていない。

集まったアンドロイド達の中には、自己を強く持ち、発言力を持つ者がいました。
サイモン、ジョッシュ、ノースです。

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サイモンは、人と関わらないことを望み。
ジョッシュは、平和的解決を望む。
人間を激しく嫌悪するノースは、暴力的な意見を持っています。

それぞれの思想を持ちながら、1つにまとまらないチームでした。そう、マーカスがたどり着くまでは...。

マーカスがジェリコへ辿り着いたことで、マーカスの運命とジェリコは変化していきます。その中で、もっとも大事なのはマーカスとノースの出会いです。

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平和的な考えと“共存できる”という希望しか持っていなかったマーカスの思想に、ノースの激しい憎しみと哀しみの言葉。そして、不穏な政府の動きが重くのしかかります。

彼は常に学習し、考えて行動に表しています。周りから得た情報を常に受け入れているのです。マーカスの暴力的な行動の発端はノースに影響されている」といえます。

ノースの存在

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ノースの過去は「エデンズクラブ」のトレイシーです。ドリームパートナー、いわゆるセックスアンドロイドです。

セックスアンドロイドは顔や性別が違えど、すべて「トレイシー」という名前のようです。

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警察の報告書によると、ノースは「客を家まで送り、そのまま失踪」したとあり、彼女の話では首を絞めて逃げ出したと言っていました。

性被害は、たとえ機械だとしても心の傷は深いでしょう。心をもったら尚更です。

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ノースはアンドロイドの大義のためならば、命を捧げる覚悟があります。

サイモンが負傷し置き去りにする時も「壊す」ことを望みました。彼女は仲間さえも、時には殺めることを覚悟しています。

人間に対して激しい憎しみしか湧かない彼女は、人間への攻撃的な考えが多い。
つまり「殺すことを良し」としているという事です。どんな犠牲を払ってでも、“アンドロイドの平和だけ”を夢見ています。

常に戦うことを熱望し、暴力だけが唯一の選択だと考えている彼女は、マーカスが平和的道を選べば反発し、抗議しています。

ノースは、ジェリコの中で最も積極的で暴力的なメンバーです。

マーカスは、そんな彼女と恋に落ちるのだから「影響」どころの話ではないでしょう。
彼女のために、彼女の思いに感化されても仕方がないですね。

マーカスは、カールとの生活では得られなかった様々な刺激を受けて、悩み、迷いながら成長していっています。自分の判断への責任も覚えて行くようになるのです。

暴力的行動の果てに

暴力的行動をした場合でも、どこかに「人との共存」や「優しさ」を残すマーカスですが、世間での厳しいアンドロイド事情を知り、ノースに言っています。

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「今まで俺は周りを知らなかった。何も知らなかった。井の中の蛙だった」と。

自分が幸せだったから、みんながこんなに苦しんでいることは知らなかった。と落胆していました。マーカスが、いかに純粋で素直なのかと胸が痛かったです。

そして、アンドロイド解放の道を進むことになります。解放...すなわち、敵地に特攻し仲間を救出するということ。争いは避けられないのです。

争う道でも、完全に暴力に走るわけではなく、ただ仕方なく戦い、仲間を解放して、人間を退けるだけの若干平和的な展開もあります。どう展開するかは今までの選択も影響しています。

しかし「革命」ルートは、どの分岐も犠牲が伴い、悲しいものとなっています。

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なかには、ノースがマーカスを助けるイベント分岐もあり、このシーンは私が見た時はまだ0%だったので、比較的珍しいパターンなのかもしれません。

どれだけアンドロイド達にマーカスの存在が必要なのかを、ノースは理解していて、マーカスのために、その身を差し出した。

受け取るか、受け取らないか。ここの選択肢は迷いました。

「あなたの一部になるだけ」の言葉で、泣いたマーカスの想いに切なくなった。マーカスの心が優しいだけに、辛い現実が刺さる時、とても痛々しく感じます。

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このノースの自己犠牲は、ノースもマーカスの影響を受けていたこと。そしてマーカスを愛していたこと。どれだけアンドロイドの未来を想っているのかがよく分かるシーンだったと思います。

こういった愛すべき人達を失くしていく現実を目の当たりにすれば、マーカスの平和的な理想や希望もかき消え、人間を憎みたくなる気持ちも湧くものです。

ほぼ絶望しか待たない「革命」ルート。
なんとも心の痛くなる物語でした。

人間に勝つ

人間に勝つ方法は、1つしかない。
それは、とても危険な方法でマーカスが最初に抱いた「自由」ではない。

化学兵器の起爆ボタン」
ノースから受け取った核のボタンを押すことで、一瞬にして放射能によって致死的状態となり、人の住めない街となるのです。

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このボタン。マーカスは、よほどのことがない限り押すことはありません。
押すか否かもプレイヤー選択によるものですが、彼が自分の思想と反する行為を決断する葛藤があります。時にはノースに決断を強いられることも。

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社会の反発と拒否、アンドロイドの虐殺。
ありのままの自分達の心を、誠意を見てもらえなかったせいで、彼の優しい心はすさみ、歪んでしまいました。

人間に勝った時の第一声は痛々しいです。

「We are FREE!!」

と声をあげたマーカスの顔には、人間らしい優しい顔は、もうない。
人と同じであろうとはせず、本来の姿を晒し、表情は厳しいものへと変わっています。

人間が、彼を恐ろしい指導者へと変えてしまったといえるでしょう。

マーカスが好きですが、この台詞はちょっと怖く感じたほど、演じ方の変化が素晴らしかったです。胸が痛たい自由宣言でした。

Everything will be alright

平和的な「行進」ルートで印象的なのは、アンドロイド達の歌う歌「Everything will be alright」だと思う。

私は英語音声で遊んだので英語ですが、吹き替えだと日本語になっているのかな?
まだ未確認なのですが、心を揺さぶる歌ですよね。

歌詞を引用しました。

Hold on just a little while longer
Hold on just a little while longer
Hold on just a little while longer

※Everything will be alright
 Everything will be alright

Fight on just a little while longer
Fight on just a little while longer
Pray on just a little while longer

※繰り返し

Sing on just a little while longer
Sing on just a little while longer
Sing on just a little while longer

 ゲーム「Detroit: Become Human」内で歌われた歌詞のみ
 引用元は古いゴスペル「Hold on」ですが、ゲーム用にアレンジされ歌詞が微妙に違います。

字幕の歌詞は堅い感じの和訳でしたが、今風の口語で訳すなら、こんな感じかな。(繰り返しなので省略してます)

もう少しだけ 耐えてみよう
(心配しなくても)すべてうまくいくよ

あと少しだけ 抗ってみよう
もう少しだけ 祈ってみよう
(大丈夫)すべてがうまくいく

もう少しだけ 歌ってみよう
そう すべてはうまくいくから

彼らの願いが、ひしひしと伝わる歌詞で、この歌をチョイスした開発陣には脱帽です。現実の奴隷暴動ともリンクして切ないですね。

”Everything will be alright”は、心配してたり不安に感じている相手や、自分に対して「大丈夫だ」と使うことが多いフレーズです。

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窮地に立たされた時、この歌を歌います。
恐れを感じながらも、“戦う”のでなく“歌う”のです。自分自身と仲間に大丈夫だと言い聞かせながら、人の心を信じて歌っています。

人間の良心に問いかけ「命」を委ねたといってもいいシーンですね。

このシーンは胸を打たれ泣けてきました。なんで、人間は分かってくれないんだろうと、もどかしかったです。死を目の前に歌う姿と状況にリンクした歌詞が、強く心に響きました。

“機械に心はない、騙されているんだ”という人もいるかもしれません。機械が感情を模倣しているだけかもしれない。たとえ、そうだとしても彼らが「恐怖」という感情を味わっているのも確かです。

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模倣でも、もし本当に感じていなかったとしても、味わうことはできます。
彼らのLEDの色は、感情を体感する時にシステム異常を起こし、赤や黄色に変化しています。これは人と同じように体感しているからだです。

彼らの暴走は、突然の溢れ出た大きな感情を持て余しているだけです。人も感情を持て余しますが、幼い頃から積み上げたブレーキがあるから、滅多に暴走しません。

アンドロイドの身体は作り物かもしれませんが、魂を持っているかのような彼らは、理論的には人間と同じであるとも言えるのではないでしょうか?

「心」があるのではないかと、思わずにはいられないシーンでした。

自己犠牲

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平和的に進めても悲劇はあります。自分が犠牲になる選択をした場合です。

“ We are alive and we wanna be free!
(俺たちは生きている、そして自由になりたいんだ!)

と、人権を求め自由を叫びながら、マーカスはオーバーヒートを起こし自害しました。

聖書のイエスのように皆の罪を背負って、独り犠牲になるはずだったのではないか?
その死で、連なるすべての者たちの罪が赦されるために。そんな風にも私は見えました。

私はこのシーン、見ていられなかったです。このあとの軍隊の行動が酷すぎます。
マーカスが命を懸けて守った無防備なアンドロイドを、いともたやすく処刑するのです。マーカス1人では終わらない、皆殺し感が...後味が悪いものでした。

マーカスの最期の言葉さえも、人間には届かなかった...という事でしょうか。

平和的決断の先には

平和的に、友好的にデモを起こした結果は、完全な答えは出ないものの、軍隊は退きます。彼らの『人間らしさ』に人々の“心”が動いた瞬間でした。

軍隊が彼らを攻撃する事は、今のところ収まったのかもしれませんが、決して「アンドロイドが受け入れられた」という意味ではありません。

しかし、この日を境にデトロイトの町の何かが変わっていくことでしょう。

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たくさんのアンドロイド達の前で演説するマーカスの言葉には『人間を許すこと、そして共に生きること、人間は友であること』を説き、彼の理想が記されています。

どこまでも、優しさと思いやりを忘れないマーカス。

「人類(敵)を愛せ」というところも、本当にイエスのような人だなと思いました。
崇高な倫理道徳です。自分を見つめているからこその倫理だと思いますね。

すべての人に対して親切にあり、苦境のもとで自分を制することが必要なことだと思います。「人を憎むよりも、この先、光の中で生きていける自由と、生きている喜びを感じよう」と呼びかけたんだと解釈しました。

今後、彼らにとって優しい社会へと成り立っていくように願わずにはいられないですね。

カールとレオ

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カールは、世界的に著名な画家です。
2020年代のネオ・シンボリストで、人間の内面や夢、神秘性などを象徴的に表現する新象徴派のようです。

そのユニークな才能で一躍人気アーティストとなったカールの作品ですが、独創的で刺激的な作風の評価は賛否両論のよう。

息子のレオは、名の知れないファンとの不倫で授かったようです。認知をして援助はしたものの、10代までは会った事もない関係で、良好とはいえないものだったようだ。

しかし、常にレオの事を気にかけ、彼の未来を心配しています。必要なら、お金も援助したほどです。

カールは、レオを心から愛しているのが分かります。

それがよく分かるのが、レオが死亡した時だ。(気絶?かもしれないが、目が見開き鼻血も出てるので、死亡していると思われる)

【訂正】レオは気絶していたようです。
カールの見舞いの際に、退院の留守電が残っているという情報を頂きました。ドラッグも断ったとのことで、親孝行できるといいですね。

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レオが倒れた時、カールは車椅子から飛び下り、這いずりながらレオを抱きしめました。息子を思い、涙しながらレオを"little boy"と呼んでいました。これは、私は愛情表現である「可愛い坊や」のニュアンスだと思います。

字幕は“バカな息子だった...”となっていますが(笑)めいいっぱいの愛でいいのに。
なぜここで、バカな息子と訳したのかは不明だけど、日本独特のへりくだっていう愚息ということなのかな?

カールが、レオの薬物中毒と生活態度に悩まされてはいるが、息子として明らかに深く愛しているのが分かりますね。

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レオは、薬物中毒で危険なドラッグ「レッドアイス」にも手を出していると思われます。酒や薬に溺れ、金を無心する生活態度から、親子関係にも緊張が走ります。

私には、この不良行動は父の気を惹こうとしているようにも思えますね。なぜなら、レオは父が自分を欲せず、愛していないと信じ、マーカスとカールの関係に嫉妬しているからです。

そして、マーカスが"完璧"だから、自分よりも溺愛していると勘違いしているようでした。完璧という事にこだわっているあたり、自分と比較し嫉妬しているのが見え見えです。

レオは父を嫌っているわけでなく、ただ愛されたかっただけなのかもしれない。
墓参りにくるレオの姿をみて、私はそう感じました。(カール死亡ルートの場合)

お互いに愛し合っているのに伝わらない、もどかしい親子関係が切ないですね。

ジョッシュとサイモン

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ジョッシュは、大学講師として働いていたが、酒に酔った学生たちにより、ひどい暴行を受け、ジェリコへと逃げ出したようです。

落ち着いた性格で、争いは好まない優しさをみせています。また、人間と平和的解決ができると確信しています。そのために、たびたび意見の相違でノースと口論になってしまいます

彼はマーカスの言葉にも積極的に反応しています。基本的に平和志向な二人は、すぐに友人関係になれます。しかし、マーカスが暴力的な方法(殺人や暴力)をとることで敵対的になるが、どんな決断をしようとマーカスやジェリコを裏切ることはありません。

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サイモンはジェリコで最年長のメンバーのようで、マーカスが来るまでは、誰もが彼の意見に耳を傾けていたようです。

マーカスがジェリコに到着した時にも「歓迎する」と受け入れたのはサイモンです。

その時まで、“ただ隠れて生きる”という、人間とは関わらない道を選んでいたジェリコ。これは、サイモンの思想が反映されていると思われます。

彼は逃げ腰の意見に賛同し、大きな変化を望んでいません。リスクは避け、今のささやかな自由で、仕方なくではあるが満足しようとしています。余計なことには巻き込まれたくない保守的なタイプといえるでしょう。

(番外編)ノースがリーダー

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ジェリコ襲撃までに、ジェリコのマーカスの支持率が低い、ノースの好感度が激怒だとノースがマーカスを追い出します。

「自由を説くけれど、あなたにはガッカリだ」と詰め寄り、ジョッシュとサイモンも流されて同意してしまうのです。結果的にノースがリーダーとなり、もちろん最終決断というものはなく、強制で「革命」ルートになります。

他にも、マーカスがジェリコで死亡した時も同じです。その時、コナーが変異体だと、コナーがマーカスに代わり彼らのリーダー的存在へとなります。

このようにノースもリーダーに成りえるが、マーカスは最初のデモ行進までは死亡ルートはないことから、マーカスが物語にとって大事な存在だという事がわかります。

反アンドロイド

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街には反アンドロイドの人々が抗議しています。

ゴードン・ペンウィックという説教者は「アンドロイドは“悪魔”であり、テクノロジーが人々を堕落させる」と言っています。

アンドロイドに仕事を奪われた人々の怒りが渦巻いていて、バス停前の抗議集団に、うっかり近づくと巻き込まれるので、虐げられたくない人は気をつけた方がいいです。

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巻き込まれると「この悪魔め!デトロイトを破壊する悪魔だ!」と嫌がらせをうけます。突き飛ばされ、蹴られたり、失業者のグループは暴力的です。警察官が介入する事で収まるが...、嫌な気分が漂ったシーンです。

こういった点でも失業者に向けて働けるように、政府の新しい対策も必要なんじゃないかなと思いました。

以上、マーカス編の考察でした。

前回:考察①ストーリー編

考察は1つの記事で仕上げる予定でしたが、長文になったので複数に分けました。
キャラクターも含め、全部で3記事程度になりそうです。

考察①は、ストーリーやテーマについての考察になっています。

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