【感想】Neverending Nightmares(ネバーエンディング ナイトメア)
Neverending Nightmares 感想
結論:現実への不安と恐怖...。
強迫観念に追い詰められた悪夢が、かなり病んでいる。
※あくまでも、個人的感想によるレビューです。
項目 | ストーリー | アクション・ システム |
やりこみ | 心病度 | 個人的好み |
---|---|---|---|---|---|
評点/S~D | B | C+ | C | A | C |
【クリアまでのプレイ時間】 2~3時間ほど
【お気に入り度の目安(~100%)】
◆80~99%:とてもオススメで大好きな作品 ◆60~79%:高い満足度が得られる作品
◆50~59%:普通に楽しめて面白い作品 ◆20~49%:少し残念な点が多々ある作品
◆1~19%:イマイチで私には合わなかった作品
【評点の目安】
S:秀、A:優、B:良、C:可、D:残念
+:多少の加点
<↓詳しい感想は下記で↓>
ストーリー
悪夢に悩まされる主人公トーマス・スミス。
恐ろしい悪夢の中に閉じ込められたトーマスは、精神世界を彷徨いながら、なにが現実で夢なのか...。悪夢の正体に迫っていく。精神的恐怖を与えるゲームになっていて、答えのない物語はプレイヤーの考察によって完結すると思われる。
途中の分岐点で、全く異なる3種類のエンディングに辿り着く。曖昧な夢の世界の出来事を整理しながら、トーマスの悪夢が何を象徴しているのかなど、物語を独自に解釈するようになっている。
どの結末がトーマスにとっての真実なのかは、誰も知らないということだろう。
精神病によって創りだされた悪意の中を探索するのだが、“心理的な嫌悪感”は見事というほかない。それもそのはず、製作者が強迫性障害とうつ病を悪化させた時に体感した感覚を再現した作品らしい。
とても重苦しい雰囲気が辛く、なんだが嫌気がさしてくる。実体験を基にしたことで「リアルな感覚をプレイヤーと共有できている」のではないだろうか?
アクション・システム
悪夢の中で目覚めることで、また別の夢へと移り変わる。現実世界で目覚めるために、夢の中を進んでいくこととなる。
操作方法は、実にシンプル。
「走ること」と「ドアの開閉」ぐらいだ。
注意点が1つ。主人公は体が弱く“喘息持ち”のようだ。少し走れば息が上がり、呼吸が苦しくなっていく。「はぁ、はぁ」と息づく声によって、聞いているこちらも息苦しく感じるほどだ。
使えるものはカラフルになっていて、背景と差別化されている。触れるか、もしくは重要なものだということが、すぐにわかるようになっている。
探索するだけでなく、この世界には敵という存在もいて、敵をやり過ごすために隠れたり、走ったりする。
敵と遭遇したら逃げるか、隠れるか、暗闇に紛れて忍び足で進むしかない。
喘息持ちということもあり、走る速度は遅い。持久力もなければ、無理をすると立ち止まって息を整えるなど、走ることにも気を配る必要がある。持続して走れないトーマスのために「少し走っては、歩く」を繰り返すことになる。
たとえ死亡したとしても、ゲームオーバーではなく、近場のベッドで目を覚ます。
これは、まさに“悪夢の繰り返し”の表現にピッタリである。永遠に続く苦しみが、プレイヤーの気持ちも凹ませていく。何とも言えないゲームである。
悪夢の鍵となっている少女ガビィは、さまざまな立場と関係性を持って、夢の中に登場している。
この物語は『ガビィとトーマスの関係』が核となっている。トーマスの不安や恐怖の抽象的な概念が、より具体的に形(ガビィ)となっているのだろう。
複数のエンディングが存在し、それぞれ異なった現実が待っているが、果たして現実であるのかは、考察次第である。
時には、ろうそく1本の明かりで、深い暗闇の中を歩かなくてはならない。
独特のペン画のグラフィックは、クラシカルでありながら、“夢”という抽象的なものを描くのにマッチしていたようにも思う。光と影、質感や雰囲気までも表現しているのも素晴らしく、斜線だけでなく真っ暗な闇はベタ塗りであったりと、光の加減が絶妙だ。
モノクロの世界で、ひときわ目立つ『赤色』。
重要なものはカラーで表現されている。触れるアイテムや、開けることのできるドアノブ、隠れることのできるタンス、物語を考察するのに重要な“意味あるもの”など。
ワンポイントカラーにすることでインパクトある画面になっている。モノクロの中に鮮やかに存在する血やアイテムが、とてもグロく感じる。
時に、分岐の1つとして少年時代に戻ることもある。大人のトーマスよりも動きが遅くなっている。
その時代、その時代のトーマスで「物語るものがある」ということなのだろうか?
さまざまな謎を与えられながら、トーマスと共に悪夢を彷徨うことになる。
やりこみ
クリアまでに2~3時間。
コンプするまでも、+1~2時間ほどなので、サクッと遊べてしまう内容になっている。
やり込み要素は複数のEDとトロフィーくらいで少ないが、雰囲気的に繰り返し遊ぶ楽しさはないので、丁度いいボリュームだと思う。
クリア後は、分岐点もわかりやすくフローチャートが表示されるので、分岐のエピソードを遊び直せばOK。親切な作りになっている。
心病度
不安な時、何かにすがりたくなる。苦しい時、とても危険な思考へと陥っていく。
「神よ、なぜ私を見捨てたのですか?」
この言葉は、イエス=キリストが磔にされた時に、叫んだとされる7つの言葉のうちの1つ『第4の言葉』だ。
イエスが、罪人の身代わりになって罪の裁きを受けたことを表す叫びでもあることから、トーマスが夢の中で「罪人となり、神の裁きを受けている」と自覚しているとも解釈ができる。
それだけ、精神がボロボロになることがあったということ。そして、彼の心の中に、何か懺悔したいことがあるのだろう。その象徴として、ガビィと共にこの世界でカラフルなイラストが、所々に散りばめられている。
ステージの場所も、病んでいるのがありありと伝わる場所になっている。
悪夢がトーマスを苦しめているのではなく、彼の「不安」と「罪悪感」が自分を戒め、苦しめているようにも見える。自らが自分を追い込む姿が痛々しい。
その表現方法もペン画であり、リアル映像でないぶん、余計に想像力も掻き立てられて、気持ち悪さが倍増している気がする。
すべては、自分の『心』次第であり、事実から逃げるのではなく受け入れることで、彼の悪夢は消えるのではないだろうか?と思わずにいられない。繰り返される悪夢は、とにかく『病んでいる』としか言えない。
総合
トーマスが「パジャマ」と無防備な姿は恐怖心を煽る。そして、少し不気味で悲しい曲が重苦しい雰囲気を盛り上げている。とても独特な世界観のゲームだった。
進んでも進んでも同じ部屋だったりと、「なんだ?このゲーム?」と最初思っていたが、ステージが進むにつれて、その先が気になって進めていった。物語に大きな展開はないものの、考察が好きな人は内容を考えることで楽しめるのではないだろうか?
ゲーム面は単調な操作や、シナリオが短すぎる点が気になった。
世界観に没入するため、単調な操作はありがたいのだが、もう少し何か動きも欲しかったかな。シナリオもホラーゲームと捉えるのなら、恐怖の演出が物足りない気もしたし、横スクロールタイプのサイコアドベンチャーと考えたほうがいいかと思う。
私は、PS NOWで遊そばせてもらった。正直なところ申し訳ないが、買ってまでは遊ばないかなという印象。「あまり期待はしない方がいい」とだけは、言っておきたいゲームだった。とにかくプレイ後は、心が疲れた気分になった。
PS NOW会員であれば、遊び放題でもあるし、PS4ラインナップに入っているのでダウンロードも可能なため、ストリーミングの面倒くささもない。気軽に遊んでみてもいいのではないでしょうか?
以上、ネバーエンディング ナイトメアの感想でした。
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