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【感想】Remothered:Tormented Fathers(リマザード:トーメンテッド ファーザーズ)

Remothered:Tormented Fathers 感想

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結論:「残酷でいて、美しい」狂気の世界へ。
雰囲気の良い、隠れんぼサイコサスペンス。
※あくまでも、個人的感想によるレビューです。


サクッと感想! 良かったところ
濃密に練られたストーリー。
逃げて隠れての鬼ごっこが熱い。
世界観を彩る音楽が素晴らしい。
残念なところ
アイテムへの反応アクションが鈍い。

 

<お気に入り度> 80 / 100%
項目 ストーリー アクション・
システム
やりこみ 愛憎劇 度 個人的好み
評点/S~D A B+ B A+ A+

【クリアまでのプレイ時間】 4~5時間ほど

【お気に入り度の目安(~100%)】
◆80~99%:とてもオススメで大好きな作品 ◆60~79%:高い満足度が得られる作品
◆50~59%:普通に楽しめて面白い作品 ◆20~49%:少し残念な点が多々ある作品
◆1~19%:イマイチで私には合わなかった作品

【評点の目安】
S:秀、A:優、B:良C:可、D:残念
+:多少の加点

<↓詳しい感想は下記で↓>

ストーリー

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“不治の病の真相”についての取材を受ける年老いた女性マダム・スペンスカ。
またの名をローズマリー・リード。

何十年とイギリスに住んだことで“マダム・スペンスカ”と呼ばれるようになったように「名前が人格形成をするのではなく、名は与えられるものだ」と語る彼女。

そう、これは名前から始まる物語。
“名前”と“アイデンティティがテーマであると、最初に提示されている冒頭。
そして、彼女の回想からゲームへと移り変わる。

プレイヤーは、過去の彼女の体験を体感していくことになる。

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セレステの失踪を調査していたローズマリーは身分を偽り、フェルトン家を訪れた。
彼の奇病を理由に、謎の少女「ジェニファー」の真相を探るローズマリーだが...。

失踪事件、誘拐、家族の秘密。
フェルトン博士と養女であるセレステ。そして、妻マリアンナとヘルパーのグロリア。
閉ざされたフェルトン家の屋敷を舞台に、身に迫る危険を回避しながら真実を突き止めていくサイコサスペンスになっている。

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家族に隠された秘密と、心を蝕む真実。
人を意きつける「美しさ」と「死」への誘いが表裏一体であるような、耽美でいて退廃的な美しさを醸し出した世界観
感じた。この独特な雰囲気が私好みで、OPで心奪われてしまったほどだ。

よく練り込まれたエピソードが探究心をくすぐる。私は考察が好きなので真相と謎を考えながら、ゲームを体感するのは面白かった。

アクション・システム

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操作方法の一覧は、新しくゲームを始めた時だけに表示されるが、ゲーム中にもチュートリアルがあるので、見逃したとしても操作面は心配はいらない。

「走る、しゃがむ、回避、アクション」
この4つさえ覚えておけば問題ないくらい、とにかくシンプル。難しい操作もなく遊べるのは良い。

同じくゲームの画面表示も最小限になっており、ゲージなどの画面表示はほぼ無く、世界観への没入感を演出し、プレイヤーの五感で楽しんでいく形になっている。

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映像表現と音楽による演出は秀逸だ。
どこか哀愁のある曲が物語を盛り上げ、感情を揺さぶる。
ストーリー面も映画を見ているような雰囲気で、素晴らしい作りになっていると思う。

ゲームプレイも仄暗く雰囲気たっぷりの屋敷内を、ひっそりと、こっそりと探索するドキドキ感。暗闇に紛れながら身をひそめて、敵の注意をそらしながら、先へと進む緊張感と楽しさは遊んだ人にしか分からない感覚だと思う。

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とにかく、逃げて隠れろ!
敵から逃れながら、隠された謎をひとつひとつ解明し、脱出への糸口をつかんでいくゲームだ。隠れられる場所、鍵の開いているドアなど、まずは屋敷の構造を把握したいところ。広い屋敷でもないので徐々に把握できるだろう。

そして、忍び寄る追っ手の存在を「音」で感じながら探索を進めていく。危険を察知して身を隠す判断力も重要で、五感を研ぎ澄まし回避していくしかない。

このゲームを簡単に言ってしまえば『脱出ルートと真相を探り、追っ手に見つかったら走って逃げて、隠れる。』の繰り返しとなる。これを楽しめるか否かで、このゲームの良さが決まってくると思う。

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なんと言っても発狂した追っ手が恐ろしい!
見つかった時のSEとBGMが共に緊張感を煽り、極上のスリルを味わえる。

◯ボタンで回避ができ、敵と鉢合わせた時などに便利。攻撃されなくとも◯ボタンを押せば、相手を押し返して逃げることができる。

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逃げ隠れするだけで“戦うことはできない”が、防御アイテムというものがあり、もし掴まったとしても反撃をして即死を免れることができる。

防御アイテムは、いろんな場所に置かれた日用品など。1つしか持てず、一度使うと無くなってしまう消耗品で、使ってしまったら新しく手に入れておくと安心なアイテムだ。ある場所の道具を利用してアイテムの耐久力をアップすることもでき、アップしたアイテムは青いアイコン表示がつくため、わかりやすい。

この耐久力だが、アップしたアイテムを使用した時に相手が怯む時間が長引くことから「武器の壊れにくさ」ではなく『攻撃力』だと思われる。もちろん、倒すことはできないため、怯んだ隙に逃げて隠れるのが鉄則。

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どこかに隠れても敵は追いつめてくる。
そんな時は、息を殺して立ち去るのを待つしかない。

時に、隠れた場所を怪しまれるとアクションが発生!表示された円の中から、ポインターがはみ出ないように右スティックで抵抗しなければならない。
最初は説明もないため、この仕組みを理解しておらず、引っ張り出されること多々...本当に五感で対応していくこととなった。

敵は立ち去った後も近場をウロウロしている。
そのため「気配」を感じながら移動しなければならない。ヘッドホンをしていると声のする方向やドアの開閉音もよくわかる。ヘッドホン無しでも楽しめるが、細かい音を楽しみたいのであればヘッドホンがオススメだ。

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移動は『走る』こともできるが、足音が響くために見つかりやすく、敵に察知されすぐ近くへとやってくるため、基本は「歩き」か「しゃがみ移動」が無難である。

しかし、歩きも多少の足音がしているようで油断はできない。しゃがみ移動は、暗闇なら気づかれずにすれ違うこともできたので、ほぼ音無く進めるのだろうと思う。

この3つの移動方法を使い分けて、スムーズに探索したいところだ。ぜひ自分なりの移動方法をいろいろ試してみてほしい。ステルス系が好きな人は楽しめるかも。

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真っ暗な屋敷を見つからないように進むのは、かなりの緊張感がある。
どちらかといえば、私の明るさの設定が暗めなため、どのスクリーンショットも暗いが、普通の設定は全体的に仄暗い感じだ。

もちろん、ライトを持っているので、行き先を照らして進むのも大事だが、見つかりやすくもなるため、ライトを消すことも大事だ。そのへんの加減は、遊んでいるうちに理解できるかと思う。

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△ボタンで、キーアイテムや持ち物を確認できる。所持できるのは「防御アイテム1つ」と「装備アイテム3つ」のみ。

防御・装備アイテムなどは、近づくと赤いアイコンで表示され、屋敷内でよく見かけるアイテムだ。装備アイテムは、置いて使うもの、投げるもの、ロープはドアを閉めることができる。置いて使うものは、わざと音を鳴らし敵を誘き出して、気をそらす物のようだ。

投げる行動は、使い勝手が悪い。
敵との距離感が必要で、遠すぎると届かず、近すぎると投げるモーションが遅いために敵に掴まってしまうのだ。絶妙な距離感で投げないと使い物にならない。むしろ、物をぶつけて怯ませるよりは、急いで逃げて隠れる方が無難という...時にイベントで必要な時もあるが…。せっかくの装備アイテムが、ほぼ使う必要性が無いのが残念なところ。

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重要なキーアイテムは、近づくと黄色アイコンで表示される。装備アイテムと区別されているので分かりやすい。しかし、近づかない限り白い点の状態だ。

没入させるためのシンプル表示で背景と同化しているため、なかなか見つけにくい。
最初はあらゆる場所を確認することからはじまる。敵に見つからないように、屋敷内をくまなく探すのはとても緊張感がある。

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イベントなどの後にオートセーブされるが、基本は手動セーブになっている。

屋敷に配置された鏡とメトロノームが、セーブポイントになっている。記憶の整理をするようなモーションが、彼女の回想とマッチしており、洒落れたデザインだ。また、ダメージを負って傷ついていたら、鏡の前でL2ボタンを押すことで回復も可能だ。回復中は鏡にひびが入るなどの演出が素晴らしい。

もちろん、セーブ中も時は止まっているわけではないため、背後に気をつけたい。

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タッチパネルを押すと、目的やイベント、収集物、チュートリアルなど、情報面をチェックできるようになっている。

目的は完了すると緑色になるので今すべきことが、よく分かるようになっている。「今、何をすればいいのか?」など、迷った時にわかりやすくて良かった。

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他にも操作方法を忘れても、チュートリアル欄で確認ができたり、イベント欄には今までのストーリーの筋が書いてあり、読むことで内容をしっかりと把握できるようになっているのは嬉しい。

ストーリーの筋が丁寧に書かれているのは、なかなか面白く好きだ。

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一度調べた重要なドキュメントは保存される。
物語を理解するのに重要な内容なので、後からじっくり読んでもいいし、追っ手がいなければ、入手時に読み込んでも構わない。

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私は北米版を遊んだのだが、和訳が少し変なところがある。理解できるので問題ない範囲だが、重要アイテムを入手時に「を手に入れた 古い傘の柄」のような感じで、言葉並びが英文法のままになっている。

国内DL版であれば修正されているだろうと思う。

やりこみ

初見で4~5時間ほど。
残念なことに、やりこみ要素はない。

クリア後に遊ぶとすればトロフィー集めくらい。そのトロフィーは、クリアすれば獲得可能なものばかり。プラチナ無しで数も少ないので、コンプは簡単だと思う。最低でも2周、クリアせずとも終盤まで遊べばトロフィーは100%になる。

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一番厄介なのはドキュメント収集。
「1回のプレイで全てを集めなければならない」ので、効率よく集めたい方は気をつけて集めたいところ。限定の場所のファイルに気をつけていればいいだけなので、比較的ラクではある。1度クリアしてしまえば目的を把握しているので、気軽にクリアできるようになるため、さほどファイルを気にせずとも周回すればいいかと。

愛憎劇 度

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この物語を一言で表すなら、歪んだ家族の愛憎劇だろうか。

感情的な「愛」は、いともたやすく「憎しみ」へと変わるということ。

全体的には、フェルトン家に隠された真相を解き明かしていくことになる物語だが、さまざまな人の感情のもつれからくる複雑な人間関係と、フェルトン博士の謎の奇病の正体など。人間の心と身体は複雑でいて、脆く壊れやすいものだ。

音楽でも歪みは表現されていて、屋敷で同じ曲が繰り返し流れる狂気。壊れたレコードのように、歪んだ心の表現は身も心も凍らせる。

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奇病に苦しむフェルトン博士。
隠された病の真実。

謎の少女ジェニファー。
徐々に明らかになるストーリー運びは面白かった。是非とも真実を確かめてほしい。

総合

三部作として展開する『リマザード』。
第1弾の「トーメンテッド ファーザーズ」は、1作でも理解可能な物語と、もっと深く知りたくなるストーリー構成になっている。

今後の作品で、もっと深くいろんな物事が繋がっていくと思われるが、ストーリーもゲーム面も三部作というのを抜きとして、単品で十分楽しめる内容だった。

プレイヤーは、主人公と同じように得られる情報が限られているため、感覚を頼りに探索しなくてはならない。視覚と聴覚で追っ手を察知しながら、仕掛けを解いて先に進むのはスリル満点だった。

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このタイトル、「クロックタワー」のトリビュートとも言われている作品で、ゲーム内にしっかりとシザーマンのハサミをチラつかせるほど。恐ろしい武器を持った追っ手から逃げ隠れする点においても、作品への情熱とリスペクトが素晴らしい!

他にも似たような逃げ隠れ脱出ものゲームである「デメント」が好きな方も楽しめるだろう。ストーリーの狂気的な部分は、デメントに近い気がした。他にも「ルール・オブ・ローズ」の退廃的な世界観や雰囲気にも似ているような気がする。

この手のゲームは、女性が主人公というのがポイントで。恐怖を描くために感情移入しやすい女性は、力による対決では解決が難しいという設定が、見ている者の心理の奥底まで震え上がらせる。女性の“か弱さ”と“強さ”を存分に描ける素晴らしいジャンルだと思う。個人的にもっと増えて欲しいゲームジャンルだ。

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他にも個人的な意見だが、主人公のローズマリーが「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターのような顔立ちで、サスペンス映画のような雰囲気を一層盛り上げている。

そういったビジュアル面から、映画などが好きな人も楽しめるのではないかなと思う。

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遊んでみて、とにかく曲と雰囲気が最高に良かった。

北米版での感想なので、国内のDL版は遊びやすく修正されているかもしれないが、ゲーム面でアイテムを認識するのが鈍く微妙だったのを除けば、比較的遊びやすいゲームだったと思う。QTEもあったりなど、飽きさせないように工夫もされている。

勝手な予想だが第2弾は、セレステかジェニファーが主人公ではないかな?と思ってみたりと、ストーリーも考察しがいのある良く練られたシナリオで面白かった。次回作が楽しみである。

北米版は7月に発売予定と決定しているが、国内版も同日なのかは不明。今作よりもパワーアップしているだろうし、とても期待している作品でもある。

以上、Remothered:Tormented Fathersの感想でした。

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Remothered: Tormented Fathers (輸入版:北米) - PS4

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  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: Video Game
 

日本語も収録されているので、ディスク版が好きな方は北米版がおすすめ。

Created by Chris Darril Remothered: Tormented Fathers ©Darril Arts - All rights reserved Remothered, the game, the franchise and its derivatives, is licensed by and belongs to Darril Arts s.r.l. Developed by Stormind Games® | Stormind Games® is a registered trademark of Stormind srl. Powered by Unreal® Engine | Unreal®, Unreal® Engine, the circle-U logo and the Powered by Unreal® Engine logo are trademarks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States and elsewhere. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.