【感想】DAYMARE:1998(デイメア:1998)
DAYMARE:1998 感想
結論:古き良きサバイバルホラーを再現!
インディー作品としては良作!
※あくまでも、個人的感想によるレビューです。
項目 | ストーリー | アクション・ システム |
やりこみ | 90年代 サバイバルホラー度 |
個人的好み |
---|---|---|---|---|---|
評点/S~D | B+ | B | C+ | B | B+ |
【クリアまでのプレイ時間】 ~8時間ほど
【お気に入り度の目安(~100%)】
◆80~99%:とてもオススメで大好きな作品 ◆60~79%:高い満足度が得られる作品
◆50~59%:普通に楽しめて面白い作品 ◆20~49%:少し残念な点が多々ある作品
◆1~19%:イマイチで私には合わなかった作品
【評点の目安】
S:秀、A:優、B:良、C:可、D:残念
+:多少の加点
<↓詳しい感想は下記で↓>
ストーリー
語り手クリーナーが語る手法で始まり、彼が裏で何を成し遂げたのかを、彼の語りと共に3人のキャラクター視点を通して、物語が進んでいく。
彼らが何をし、街で何が起きたのかを体験していくタイプとなっている。
主人公達はヒーローではない。証拠隠滅を任された特殊部隊H.A.D.E.S.メンバーのレイヴンとリーヴ。そして、町の市民であるサミュエルこと通称サムの3人だ。
ヘキサコア回収調査先進部隊。通称H.A.D.E.S.は、名前からも分かるように冥界の神ハーデスから来ていると思われる。回収作業だけでなく、抹殺なども行っているようだ。
彼らは、ヘキサコア・バイオジェネティクスが開発した「H添加剤」といった実地テスト用の免疫刺激剤をD.I.D.端末を通じて自動的に注射されている特別な部隊でもある。この薬剤はゲーム内で回復アイテムとしても使われるもので、物語としても重要な薬品である。
ヘキサコア・バイオジェネティクスのイージス研究所との通信が途絶えたことで、H.A.D.E.S.の2チームが召集。
彼らの任務は、跡形もなく消えた研究員を探し出し、アメリカ合衆国連邦政府の情報機関が機密指定している物質(腐食性ガス)を回収することだった。問題は、回収物が新型の化学兵器であることを知らなかったこと。
降り立った地は、ガスによる実験が失敗し、腐食性ガスが放出され、ガスを吸った人々が変異した悪夢だったのだ。
物語は、うまい具合にキャラが変更されて進行していく。
どのように3人が繋がっていくのか?
ワクワクしながら終盤を迎え「なるほど」と唸ったが、大きな謎と余韻を残した。
ファイルを読むことでも詳細が補完され、少しづつ明らかになる真実。先が見えないストーリー展開は素晴らしかった。シナリオは、今風の海外ドラマや映画らしさがあったように思う。
個人的にクリア後にいろいろと考察できる物語は好きだ。「こうである」とハッキリと提示するのでなく、受け取る側の解釈で物語が膨らんでいく楽しさがあると思うから。
続編があろうが、無かろうが、もう少し見てみたくなる物語だった。
アクション・システム
「古き良きサバイバルホラーを目指す」と語っていただけに、とても懐かしい雰囲気とゲームシステムになっている。昨今のビジュアルでありながら、90年代も感じる操作感が、逆に新しいスパイスとなって焦らせる。
キャラクターは、D.I.D.(データ交換端末)を右手に装着している。ほぼすべての通信端末とリンクでき、鍵を開けるためにセキュリティ端末もハックできる装置だ。
このD.I.D.がメニュー画面となっていて、アイテム管理や拾ったファイルを読み返したり、マップを見たりできる。
カッコイイのだが、文字が小さいために読みずらいのが難点。43インチTVで読みにくいなぁと感じた。中型モニターで近距離から遊ぶのには支障はないと思うが、フォントがもうひと回り大きければよかった気もする。
マップはボタン1つで起動できず、メニュー画面からタブ切り替えで見るタイプ。
少し面倒だが、90年代バイオ風といえば同じである。これは仕方がないだろう。
古さだけでなく新しい部分もあり、無防備になるがマップを見ながら移動することができる。右手が使えないので、敵がいないところに限られるが...。
R1を押せば、全体的なデータを簡易に見ることができる。体力、ステータス状態、装備のセッティング状態、マガジンと回復の所持など、D.I.D.を開かなくても確認する事ができるのはよかった。左上には実行中の「目的」も表示される。
十字キーには武器セットができる。便利ではあるが、装備中の銃ボタンを押すと、構え状態から銃をしまう動作をする。これがあることで、スムーズに武器切り替えができないことが多々。とっさに敵と対峙した時に、もたつく原因にもなったので、武器をしまう動作は必要なかったような気もするが...。素早く武器変更ができなかったのが残念。
D.I.D.の一般的なメニュー画面は、アイテム管理になっている。
アイテムは最大12個持てるが、それぞれの弾薬、ハンドガンのマガジン、回復系薬品、キーアイテムと持ち物が豊富である。特に弾薬を温存しているとアイテム欄が、すぐにいっぱいになる。
預けられる端末が数か所あるが、回収したい時にその端末があるかと言われると無いに等しい。なので、常に12個のマスをどう使っていくのかをよく考えて進めたいところ。こうゆうところは、昔ながらを感じるポイントでもあると思う。
アイテムを保管できるターミナルと呼ばれる端末がある。セーブやアイテムのトレード、アイテムの補完ができる。
アイテムのトレードは、手持ちがよほど充実していないと交換できないのと、一番欲しい回復アイテムの条件が厳しいのが難点。ちなみに、弾薬は交換しやすいので安心ではある。
欲しいアイテムの条件を確認したら、必要なアイテムはなるべく使わずに残しておきたい所だが、持てるアイテム数も限られるために、よく考える必要がある。アイテムを預けることもできるが、頻繁にある端末ではないことと、キャラごとに別々の扱いなので、なかなか集まらない上に面倒である。(バイオのような、どこでも無限BOXではなかった)
戦闘面は、敵の動きが早く感じた上に意外な動きもするために、じっくりと狙っている時間が生まれず、若干焦ってしまうが、慣れると落ち着いて撃てるようになる。
ちなみにこの画像のように、画面が赤くモノクロのようになっているのは、ライフ(HP)が少なく、死が近いことを意味している。瀕死に近いことで、色が無くなる効果もリアル重視で好きだ。
撃つと血しぶきが飛んだりする効果もいい。ショットガンだと、壁に血が飛び散って付着したままになる。日本ではあまり見られない効果で、海外ならではの血生臭さが感じられた。
敵に捕まると、吐しゃ物攻撃を喰らわされる。
右上にライフバーが表示され、減っているのが目視でわかるので、ありがたい。ノーマルでも減り方が大きいので、なるべく捕まりたくないところ。
ボタン連打で早めに逃れることができる?と思うのだが、あまり効果は感じられなかった。
この作品で、一番賛否が分かれるシステムだと思われる「銃のリロード」
リロードはボタン1つで可能だが、“マガジン交換”といったリアル仕様になっている。
前もってメニュー画面で、マガジンに弾を込める操作が必要になるのだ。メニュー画面を開いてる間も、時間は流れている。バイオハザードのように時間が止まるわけではないので、メニュー操作は敵のいない時に準備しておく必要がある。
また、リロードも長押しと短押しでの違いがあり、長押しでリロードするとゆっくりとマガジンを入れ替えるが、短押しは瞬時にリロード交換をするために、マガジンは下に落としてしまうのだ。このリアルな銃扱いに賛否が割れそうだが、他に見ないシステムで面白かったと思う。
このリロードは、マガジンが必要なハンドガンだけで、ショットガンなどは関係なくボタン1つでリロードできるので、慣れれば特に面倒でもないということ。
弾薬はノーマルで、ほど良く用意されている。節約して、たっぷり余るほど。
その代わり回復薬が少ないように感じた。私の場合だが、うまく敵を避けれず途中、回復が足りなくなった。ライフがギリギリで進む怖さは半端ない。
厄介なことに、回復系アイテムの薬品にはさまざまな効果のものがあり、ライフを回復するもの、精神向上するものと種類が豊富で、合成することで完全なアイテムとして使えるようになるのが、少し面倒に感じた。
一番欲しいライフ回復薬が少ないので、回復アイテムの使い方がポイントになるかと思われる。また、薬は使用しても即効性がなく、徐々に回復や上昇していくので使い時を選ぶ必要がある。
キャラビジュアルも含め、「90年代そのもの」になっていて懐かしい。
昨今のゲームのように快適ではないが、テーマを貫くぐらいの挑戦はしていっていいのではないかと。独自の面白味があって良かったと思う。“90年代風を作る”というテーマには適した内容になっていた。
謎解きは、なかなか挑戦的で、ヒントがすぐ横にあるにもかかわらず、少し考え込んでしまうほど。よく練られた謎解きで楽しめた。解けた時の安堵感と達成感が気持ちがいい。解けない仕掛けはないので、頑張って解いてみてほしい。
やりこみ
謎解きに詰まらなければ、8時間前後でクリア可能。その後の楽しみは...ハッキリ言ってしまうと、クリアしてしまえば終わりである。
クリア後の楽しみ方はトロフィー集めぐらいだろうか。ファイルや音声といった収集物集めは親切設計になっている。1周のプレイ限定でなく、総合プレイで判定されているので、取り忘れだけを集めるだけでOK!
各チャプターで手動セーブもできるため、比較的ラクに集まると思う。
他にも、隠し収集が用意されフィールドに鹿人形が隠れている。ポーズ画面では、右上に現在のフィールドに何体いるのかが、印されているので確認すると取り逃しを防げる。トロフィー項目にもなっているので、集めてみるのもいいかと。
鹿が近くにいる時は「ミューミュー」と人形の鳴き声がするため、難しくはないと思われる。音のする周辺に必ずいるため、聞き逃さないように気をつけたい。
集めた人形はギャラリーとして見ることができる。開発チームが映画やホラー好きなのだろうか?ホラー映画繋がりのコスチュームで、まとめられている。
他にもゲーム内には映画のポスターが多数。しかも、90年代映画に限定しているのにも、こだわりを感じた。
90年代サバイバルホラー度
もともとは、バイオハザード2の非公式ファンメイド作品「REBORN(リボーン)」だった本作。その名残を残したまま、うまい具合に新しい作品へと生まれ変わっている。
作品内には本家バイオハザードへのラブコールが多々あり、バイハザードが好きな方なら「これは!」と思うアイテムや仕掛けに気づくだろう。あらゆる場所に散りばめられている。同じバイオファンとして、彼らがどれだけバイオを好いているのかを肌で感じる作品だった。
一部を紹介すると、これはS.T.A.R.S.のオフィスだったんだろうなとか、A.WONGのネームプレートはエイダの名前だなとか。ファイルに至っては、あの生みの親の名前まで!
他にも、銃店のオーナーがいたり、地下下水道へ行ったり、語り手であるクリーナーの声が、バイオ2でレオンを演じた声優ポール・ハダッドさんであったりと、リスペクトがそこら中にある。90年代バイオ全盛期である初代バイオ~コードベロニカまでの時代を懐かしむ、不思議な感覚があった。
訳し方が若干違うが、バイオでお馴染み「今はそれどころではない」もある(笑)
他にも多数あると思われるので探してみては?
「このゲームには暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています」といったものまでも、しっかりと再現。この警告文は海外ゲームでは珍しい、日本独特のものだ。
バイオのパロディが満載で、バイオネタを見つけては頬が緩む。バイオハザードを知ってる人限定のネタではあるが、そんな違った楽しみ方もできる内容だった。
全体的にバイオ愛に溢れた作品になっている。
他にもありがたいことに、寿司店やお城、物語に日本も関わっていたりと、日本へのリスペクトも感じられた。
総合
全体的に暗い場所が多く、ライトで照らしてドキドキしながら進む感じが好きで、楽しかった。見えない先に「何かがいないだろうか?」と不安になったり、限りある弾薬で「これを倒したら今後足りなくなるかもしれない?!」と心細いまま進む。
懐かしいサバイバルホラーだった。
純粋に楽しめたし、面白かったというのが、まず第一声の感想。
システム面のぎこちなさはあるものの、特に気にはならなかった。
1つだけ「もったいないなぁ」と思ったのは、キャラクターだ。
海外ゲーム特有で、インディゲームならではのキャラクター作りだったこと。
「作品は面白いけど、なぜかパッとしない」と思ってしまうことがある。たぶん、日本のようなキャラ文化がないからではないかな?
例えるなら、文学的で漫画・アニメ的でない。逆に難しくしたかな...?(笑)
あくまでもシナリオと世界観で魅せていくタイプの物語であり、映画や小説を読んでいるような印象を受けた。私は好きであるが、日本でウケるかと言われると微妙だ。
そして、特に彼らがリスペクトしたバイオハザードを生んだカプコンは、キャラクター作りが秀逸である。キャラの動きやセリフだけでも、楽しめるようなキャラクター性は作品を盛り上げる要素の一つでもある。そのキャラ個性が、なんとなく薄いのだ。
もう一つ、キャラ性だけでなく技術も含め、その“カプコンが認めた”という先入観があるばかりに遊んでみて、がっかりする人もいるかもしれない。あくまでも「古き良きサバイバルホラー」を題材にしたゲームであるということ、バイオネタはあるものの「バイオハザード」は一旦忘れて遊んだ方がいいと思う。
インディーゲームであり初リリース作を、大手や本家と比べるのは酷であるが、確かにゲームが洗練されていないのは否めない。しかし、何十年と技術を磨いてきた本家と比べて劣っているのは当たり前だと思う。それよりも、この作品をたったの10数名といった少人数かつ、アマチュアメンバーで仕上げたのは素晴らしいことだと思う。
Unreal Engine独特の艶のある質感で、雰囲気ある世界を表現していた。アマチュアでも自分の表現したいものを作れるようになった、今の時代だからこそ!の作品になっていたと思う。全体的に良く作り込まれているし、ゲーム性も良かったと思う。彼らの今後の作品を期待したい。
価格も安価なので、気になるのであれば遊んでみてもいいのかもしれない。
初代バイオハザードが好きな人は楽しめるのでは?
以上、の感想でした。
© 2019 Destructive Creations and All in! Games / Developed by Invader Studios / Published by DMM GAMES